「中国はでかい仕事ができる」日本人駐在員に「やりがい」を聞いた話

上海居酒屋カウンター

上海には日本人が約10万人いると言われています。
海外で日本人が一番多い都市です。

居酒屋で経営者と話す

僕は仕事の後にいつも外食に行くのですが、なるべくカウンター席のあるお店に行くようにしています。
理由は簡単で出会いを作る為。
上海に来ている人は、経営者や海外を飛び回っている人が多くて話がとてもおもしろいです。
また、居酒屋で話した繋がりから仕事の関係に発展する事も多いです。(1ヶ月で10社以上の人と話し、2社から仕事の話を頂きました。)

先日、ある経営者の方とお話した時の事を紹介します。

その人は工場向け商品(詳細は伏せます)の営業をしている方で、お客はAppleや自動車メーカーなど。

経営者に中国と日本の働き方の違いを聞く

経営者(以下Tさん)「自分は日本と中国を行ったり来たりしてるけど、中国の方が楽しいよ」

僕「なぜですか?」

Tさん「1つは社員の目つき。中国人はいきいきしてて積極的。だからこっち側もやりがいがあるよ。
指示を聞く時は前のめりでくるしにね。特に女性が優秀かな。」

僕「そうなんですね。日本と雰囲気が違いますか?」

Tさん「そうだね。日本人は最近難しいところあるね。叱り方は考えないといけないしね。
そして2つ目はね、日本は仕事のスケールが小さくなってきてる。数万円の細かい仕事も受けるよね。競争が激しいから仕方ないんだけど。
中国はまだまだ発展中だからスケールが違う。一度に工場全体で使う商品の受注をもらって数千万円とかね。」

僕「なるほど、仕事への張り合いが全然違うでしょうね」

Tさん「で、中国だと総経理(日本で言う社長の意味)が直接会って直接やりとりできる。
今度初めて○○自動車(有名自動車メーカー)との契約が決まりそう。日本だと相手にされない大手企業だよ。」

僕「確かに中国での営業はやりやすいですね。僕も総経理さんに会う事が多いです。仕事で出張はあるんですか?」

Tさん「今度、タイとベトナムに行く。どんどん海外で事業拡大するからね。」

僕「アジアを飛び回ってますね。そういう働き方憧れますよ。大変じゃないですか?」

Tさん「大変だよ。毎日クタクタ、脱力感が半端ない、心地良いけどね。」

僕「他の営業マンでタイとベトナムを担当する人いないんですか?」

Tさん「いないねー。そういう奴がいたら本当に助かる。」

こんな感じのやりとりでした。
上海では仕事のスケールが大きいです。そして経営者である総経理(社長)と直接仕事できる事が多いです。
やはり経営者の方は考え方が普通の人とは違っていて、話を聞くのは人生勉強にもなります。
そして、Tさんの会社では、上海やアジアで働きたい日本人営業マンを募集中とのこと。

僕が上海で人生最大の苦労と自信を手に入れた話

飛行機から富士山

2013年3月に上海に来て、2013年6月は僕の人生の中で一番勝負の月でした。
自社のサービスがスタートし、目標が決められ営業活動が始まりました。

この時僕に与えられた目標は「日本語が話せる中国人を200人集める(会員にする)こと」

半月過ぎても0人

メンバーは僕と中国人女性スタッフが1人。
最初はインターネットでの集客を考えた。
戦術3つ。(1)携帯メルマガ (2)微博(中国版Twitter) (3)掲示板への書き込み。

(1)携帯メルマガは1万人の携帯電話にショートメッセージが打てるサービス。
しかも日本語ができる中国人が対象のサービス。
これだけで200人の目標が達成できるんじゃないかと思っていた。
1万人中200人だから獲得率は2%。無理な数字ではない。
なるべく多くの人を獲得する為にプレゼントキャンペーンも用意した。

結果はなんと0。

なぜかわからなかった。1万人の内1人も獲得できないなんて。
「ちゃんと送っていますか?」業者に確認する。
「送っていますよ」と返事。
原因究明をしながら新しい戦術の企画を考える。時間は待ってくれない、むしろそっちが大事。
中国人スタッフが担当した(2)微博と(3)掲示板の結果を確認すると、こちらも結果は0。

半月過ぎて獲得は0のままだった。
段々と僕達は追い詰められていった。

後日わかった事だけど、携帯メルマガの業者が送った1万人は日本ができる人ではなかった。
それが判明したのは後日送られてきた送信レポートになんと1万人の電話番号が一覧で書かれてあり、無作為に30人に電話すると誰も日本語が話せなかった事で判明した。
中国のビジネスではありえないことも起こる。

足を使って営業。100人達成

半月が過ぎて0のまま。
ここで「足を使っての営業」に踏み出す。
大学の日本語化・日本語学校へのテレアポを行った。
中国人スタッフに大学と日本語学校30校をピックアップさせ、自分が電話した。中国語はできない自分。とても緊張した。
電話すると相手は中国語で出る。当たり前だ。
「こんにちは。日本語話せる人いますか?」
「ティムドン(わからない)」と言って切られる。
覚悟していたことだけど、精神的にこたえる。
こんな電話を5回、10回と繰り返す。
諦めるわけにはいかない。
そして、やっと、繋いでくれる学校があった。
日本語が話せる人(先生)に変わってくれて、「一度伺いたい」と話すと、なんとアポイントが取れた。
この時は本当に嬉しかった。

そして、後日アポイント。中国人スタッフと2人で行く。
打ち合わせでは、必死になって説明した。
説明資料は中国語版も用意した。前日に中国人スタッフが残業して翻訳した。
結果的に、この時も獲得は0だった。
相手は上海で一番の名門校で「今は不要。来年は考えましょう」という回答だった。
残念だったが、僕達の営業の姿勢はかってくれていた。少し自信が出た。

そして、その後はテレアポと飛び込み営業も含め、たくさんの学校を回った。
受付を簡単には通してくれないだろうと思い、無印やダイソーでメモ帳やカラーペンなどおもやげを持って回った。
念願の1人目の獲得は、6月22日の土曜日に飛び込み営業した徐家汇の日本語学校だった。
突然の日本人の訪問を珍しく思ってくれて、なんと授業に参加させてくれた。
生徒の為に日本人が話す日本語を聞かせたい、のだと言う。
10分程時間をもらった僕は自己紹介や日本で有名な中国の物の話等をした。そして自分たちのサービス説明も。
話し終わった後、プレゼントを配りながら名前、連絡先を記入してもらった。
10人以上が会員登録をしてくれた。
この調子で会員は100人まで集まっていった。
残りは1週間。

「残り3日。ダメだ足りない」その時取った行動

残り100人を獲得する為、中国人スタッフと土日も学校を回った。
(余談だが、本来中国人は残業を嫌がるし、させてはいけない。今は残業させていない。
でも、この時はこっちの本気度が伝わったのだと思う。残業も休日出勤もしてくれていた。)

ある日は、起きたら高熱が出ていた。だけど、休む気は無かった。
炎天下の中、初めて行く場所、印刷した地図を持って向かった。
「人民広場」という場所、日陰のない広い公園を2km以上歩いた。とても辛かった。
更に辛かったのは学校が閉校している事だった。
2013年、日本語を学ぶ中国人が減少傾向で、小さな学校は潰れていた。
ホームページには閉校のアナウンスは書かれていない。やっているものとして向かい学校が無い時は辛かった。
中国人スタッフがピックアップした30校のリストが終わりかけていた。

「ダメだ。足りない」
閉校していた学校の営業の帰り、夜の駅のホーム。
想定外の事態、しかも高熱で、最大のピンチだった。
「どうしよう・・・どうしよう・・・・」
呪文のように心の中で繰り返していた。

追い詰められていた。
でも、目標を達成したかった。
というより達成せずに終わるのが悔しかった。負けたくなかった。

この時、僕が取った行動。その瞬間の事ははっきりと覚えていない。意識が朦朧としていた。
ノートに「日本語話せますか?」と書いて歩いている中国人に声をかけていた。
駅のホーム、電車の中、そして駅の出口で。
1時間やって1人、日本語が話せる人が立ち止まってくれた。
「あぁ、良かった」
新しい戦術が見つかった。

そして最後の3日間、昼間は学校へ営業、夜は街で声掛けをした。
手にはノートじゃなく手作りした看板を持っていた。

そして最終日、200人を達成した。
この時は泣いた。本当に嬉しかった。

振り返って

これは僕の人生の中で一番自信になっている事です。
これからも何かをやる時は、必ず足を使って行動する事を決めています。
誰もやったことがない事でも、恥ずかしい事でも構わない。
失敗したって、そこから学べる事で一歩進められる。
ましてや、ここは中国。
日本では予想もつかない事が起こります。悪い展開も、そして良い展開も。
だからおもしろい中国。

日本人である事に感謝したくなる、上海で営業の仕事がやりやすい理由

上海営業サラリーマン

僕は上海で営業の仕事をしています。
テレアポ→訪問→提案といったいわゆる「新規開拓営業」です。

日本では営業の経験はあまり無くて、正直に言うと不安がありました。

しかし、上海で営業はやりやすいです。

テレアポをしてアポイントが取れる率がなんと30~40%あります。
日本ではどのくらいでしょうか?2~3%程度でしょうか?雲泥の差です。

これはなぜか。

1)担当者が日本人の場合

「外国で働く日本人」という仲間意識があり、会ってくれやすいです。
担当者の中国経験は10年以上といったベテランの方から、1年以内の短い方までさまざまです。
中国経験が長い方は、いろいろと教えてくれようとして会ってくれたりします(人って基本的に教えたがりですよね。)。
また、経験が短い人は情報交換をする目的もあって、会ってくれやすいです。

2)担当者が中国人の場合

中国人から見て日本人の印象は良いです。
(デモや反日は一部の人だけの話で、みんな日本人に好意的です。)
それは、実生活の中で家電や化粧品など日本製品の質の良さを目の当たりにしているからです。
また日本人の礼儀正しさ、譲り合いや助け合いの精神にも尊敬の念を持っています。

中国人の担当にテレアポした時もやはり会ってくれる率が高いです。
過去、私が中国語がわからない状況で飛び込み営業をしていた時も、中国人はみんな丁寧な対応をしてくれました。

これは、私達の先輩方が必死に頑張ったおかげで作られた「良い日本人のイメージ」のおかげです。
上海に来て日本人である事に感謝しました。

以上、上海で営業の仕事をしたい方、参考になったでしょうか。

もし営業未経験の人でも、上海という外国の地で営業の仕事を始める事はとても良い事だと思います。

<2015.2.6追記>

先日、お付き合いのあるお客さんの総経理(社長)に電話した際、こんな事を言われました。
「営業は、話がうまいとか調子が良いというのが大事じゃなくて、誠実にやる事が大事だよ」と。
あるお客さんの社訓には「お客様を裏切らない、真面目に、誠実にやること」と書かれてありました。
営業の仕事をやった事が無くても「真面目にやる」これが出来れば大丈夫だ、と思えました。